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日教組教育新聞連載
「学校に行けるようになった先生たち」
学校であったちょっとよさげな話
教育川柳 by 出水支部
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第58回 「休む勇気」
延岡市松寿会松崎医院・大分協和病院心療内科 丹生聖治

 過労による心身症や鬱病の患者さんに休養が必要という診断書を書くのですが、これがけっこう大変です。元々真面目な人が多いので、他の人に迷惑をかけられないからと、診断書を受け取ろうとしない場合があります。こういう場合、今の状態で仕事をしても、思考力が落ちているので仕事にならないことや、すぐに病気休暇をとらないともっと症状が悪化することなどを説明して、何とか説得を試みます。
 「今私が抜ける訳には行きません。二週間後の研究授業ができなくなります」「私が抜けると、学校が回らなくなります」などと言われると、どうしたものかとこちらも頭を抱えてしまいます。
 延々押し問答が続くと私のほうがだんだん鬱になってきます。それでも気を取り直して、「こんなになるまで頑張ったのだから、神様だってきっと休んで良いと言ってくれますよ」と根気強く説得に当たります。無理して仕事を続け、とうとう倒れてしまった先生を何人か見てきましたが、実際には代わりの先生が来て何とかなっているようです。心身の状態が思わしくない状態で仕事を続けても良い仕事はできません。早く治して元気に仕事をして下さい。その為にも休む勇気を持って下さい。さて、苦労して診断書を受け取ってもらったのに、信じられないことですが、稀に上司が診断書を受け取らないということがあります。休職者を出すと自分の評価にかかわるのか、人が少ないから休ませたくないのか知りませんが、「自分から見るとそんなに悪いとは思えない」とか「こういう病気で休むと将来困ったことになるよ」とか「君は他の人に迷惑をかけて平気なのか」などと脅して来るわけです。「あの人は自分が自殺するまで分からないのだろうか」と言う患者さんの言葉を聞いて、「診断書が出ているのに休ませなくて自殺したら、労災認定がおりて、管理責任が問われると思いますが、死んでしまっては元も子もありません。せめて未遂にしておいて下さい。それより、教職員組合に相談するか労働基準監督署に相談するという方法の方が賢明です」と教えてあげました。
 戦う勇気も忘れないで下さい。

この連載は、日教組教育新聞に連載され、すでに58回掲載されています。興味がある方は、日教組ホームページ(e‐station)に全部載っていますので、そちらをご覧ください。


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