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新学習指導要領小学校本格実施・中学校試行についての実態調査
2011年9~10月実施

2008年3月に告示された新学習指導要領は、小学校では2011年4月から、中学校では2012年4月から完全実施されました。鹿教組は、これまでも新学習指導要領の移行期間に伴う学校現場の諸問題について、実態調査を行い県教委交渉や日教組の文科省交渉に役立ててきました。
 2011年度も、9月から10月にかけて各学校の実態把握を行いました。その調査結果をまとめたものを掲載します。小学校では、移行措置期間以上に内容の増加があり、それに伴う授業時数の増加(週あたりのコマ数の増加で対応88.0%)が見られます。そのために、子どもたちが楽しみにしていた遠足などの行事を削ったりして対応している現場の状況があります。そんな中で子どもも教職員もゆとりがなく、「学期末に、1日に算数を2時間、3時間実施した。そうしないと終われない」などの実態が明らかにされています。
 中学校は、授業時数増加への対処は、「週あたりのコマ数増加で対処」の割合が低く、すでにコマ数が増やせないほどくまれていることが伺えます。また、2012年度は「総合的な学習の時間や選択教科の時数削減で対処」と多くが答えています。授業時数の増加による学校現場への影響として、「どの教科の教員がふえるかで、教科の持ち時数のアンバランスがかなり出てきて、一部の教員に負担がかかると予想される」「教員の持ち時数の差が大きくアンバランスになる。それに伴って担任がもてない教科が固定される」とあるように、教科間の時数のアンバランスと、それに伴う時間割編成の困難さ、担任を担う教科の固定化などの問題が見られます。制度的な課題でもありますので、各学校の状況を把握しながら、対応していかなければなりません。
 これまで子どもたちの自主的な活動を引き出し、人権・平和・環境・共生などの実践を生み出してきた「総合的な学習の時間」の時数の減少と、それに伴う実践の希薄化が危惧されます。武道の必修化による問題も多々あります。まず、52.3%が「子どもたちのけがや事故、その対応等が心配される」と回答しており、安全面に十分配慮をしなければなりません。武道にかかわる用具の課題として、柔道着・剣道着などの使い回しなどは衛生面からも問題があります。また、アンケートでも指摘されているように「宗教上、武道のできない生徒への対応」も課題です。保護者の経済的な負担のことも合わせて、これらのことについては担当者だけに任せるのではなく学校全体の課題としてとりくまなければなりません。
 アンケートでも「授業時数の確保に終われている感じがする。『宿泊学習を夏休みに』という声が職員からチラホラ聞こえだしている」という回答があるように、小学校・中学校共に長期休業中への宿泊学習等の実施が心配されます。鹿教組と県教委は新学習指導要領の「総則」に関して、「各教科活動や学習活動の特質に応じ効果的な場合は、長期休業中においても、例えば、職場体験学習、集団宿泊学習、修学旅行等のまとまった日数を必要とする学習、自然現象に伴う授業や季節的な制約を受ける授業等の長期休業中に実施した方が効果的な学習など」と確認しています。学習指導要領にある「効果的な場合」ということを更に強調した確認になっており、安易に「授業時数を確保するため」という理由だけで長期休業中に授業をくむことはできないと確認しています。各学校ではこの確認に基づいて教育課程編成を行う必要があります。

  
小学校記述まとめ 中学校記述まとめ
(PDF:262KB) (PDF:176KB)








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