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中学校歴史教科書検定結果公表に対する日教組書記長談話
2009年4月10日
日本教職員組合
書記長 岡本 泰良

 文部科学省は、2010年度から使用される中学校教科書の検定結果を公表した。本年度の検定は、12年度の新学習指導要領完全実施に対応する教科書検定が来年に予定されているため、申請は一部団体が主導して編集した教科書のみとなった。
 今回検定に合格した教科書は、516ヶ所にもおよぶ欠陥が指摘され一旦不合格となったものを修正・再申請し、さらに136ヵ所の意見がつけられたものであると報道されている。単純な誤記・誤植や年号の誤り、事実誤認の箇所が多くあることが指摘されており、教科書としての信頼性が損なわれるものであると言わざるをえない。
 また、教科書の内容や記述については、戦争を正当化した表現や事実認識に誤りのある表現がなされており、検定においてもそれが十分に修正されていない。戦後の歴史学や歴史教育は、侵略戦争遂行に利用されてきたことへの反省を踏まえ、科学的に明らかにされた史実を重視してきた。しかし、今回の検定においても同団体主導の教科書は、史実と真理・真実にもとづいたものとは言えず、国際的な点から大きな弊害となることが危惧される。

 日教組は、基本的には現行の教科書検定制度を廃止し、行政から独立した第三者機関によって、学問的・教育的な観点から検討したうえで認可するという認可制度へ移行していくなどの見直しが必要であると考える。当面、現行制度のもとでは、憲法・子どもの権利条約に則り、検定制度の弾力化と検定手続きの透明・公正化をすすめ、情報公開を完全なものとすることが必要である。また、「近隣諸国条項」、95年の村山首相談話(閣議決定)、98年日韓首脳共同宣言などの国際公約に遵守して行われるべきである。

 日教組は、子どもたちの教育に直接かかわっている教職員が主たる教材の調査研究に積極的に関わる責任があると考える。教職員は子どもたちに最も適した教材を判断するために、教育行政の援助を受けて教科書採択について調査研究を行うべきである。そのためにも教育行政には、教科書見本本の閲覧、学校巡回の時間、教科書研究の時間保障など教職員が教科書研究に関与できる条件整備が求められている。

 今後も日教組は、主たる教材の調査研究を積極的にすすめ、採択地区の小規模化など教科書採択制度の改善、公正・透明な採択制度の確保、教職員による教科書調査研究などの条件整備を求めていく。また、わたしたちは、アジアをはじめ、世界の平和と安定、共生の社会を実現するため史実と真実にもとづく教育実践にいっそうとりくんでいく。  

  

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