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「教科書検定意見撤回を求める県民大会」

 9月29日、宜野湾市で開催された「教科書検定意見撤回を求める県民大会」には、文科省の高校歴史教科書検定で、沖縄戦における「集団自決(強制集団死)」の日本軍による強制の記述が削除・修正された問題に対しての抗議集会であり、沖縄県内外から抗議集会として過去最高の11万人以上が結集しました。鹿教組からも上猶鹿児島支部書記長、喜入本部会計部長、自主参加者など数名が参加しています。
 県知事、県PTA連合会長、県教育委員長、高校生、女性、青年、各団体代表が、それぞれの立場から文科省による検定意見について強く抗議し、遺憾の意を表明し、県民へのアピール・検定意見撤回と記述回復を求める決議が満場一致で採択されました。

県民へのアピール

砲弾の豪雨の中へ放り出され
自決せよと強いられ
死んでいった沖縄人の魂は
怒りをもって再びこの島の上を
さまよっている

いまだ砲弾が埋まる沖縄の野山に
拾われない死者の骨が散らばる
泥にまみれて死んだ魂を
正義の戦争のために殉じたと
偽りをいうなかれ

歴史の真実をそのまま
次の世代へ伝えることが
日本を正しく歩ましめる
歪められた教科書は
再び戦争と破壊へと向かう

沖縄戦の死者の怒りの声が
聞こえないか
大和の政治家・文科省には届かないか
届かなければ聞こえなければ
生きている私たちが声を一つにして
押し上げ訴えよう

大会決議文
 去る三月三十日、文部科学省は、平成二十年度から使用される高等学校教科書の検定結果を公表したが、沖縄戦における「集団自決」の記述について、「沖縄戦の実態について誤解するおそれのある表現である」との検定意見を付し、日本軍による命令・強制・誘導等の表現を削除・修正させている。
 その理由として同省は、「日本軍の命令があったか明らかではない」ことや、「最近の研究成果で軍命はなかったという説がある」ことなどを挙げているが、沖縄戦における「集団自決」が、日本軍による関与なしに起こり得なかったことは紛れもない事実であり、今回の削除・修正は体験者による数多くの証言を否定し歪曲しようとするものである。
 このため、これまで口を閉ざしていた多くの体験者が子供たちに誤った歴史を教えることの危機感から、辛い体験や真実をようやく語り始めている。
 また、去る大戦で国内唯一の地上戦を体験し、一般県民を含む多くの尊い生命を失い、筆舌に尽くしがたい犠牲を強いられた県民にとっても、今回の削除・修正が到底容認できるものではないことから、激しい怒りを示し、そのうねりは県内全体を揺るがす力となって、沖縄県議会での二度の意見書決議、四十一の市町村議会全ての意見書決議へと結びつき、さらには県内地方四団体や民間団体が相次いで文部科学省へ要請するなど、県民が一丸となって取り組む結果となった。
 これに対し、文部科学省は「教科用図書検定調査審議会が決定することであり、理解していただきたい」との回答に終始し、検定意見の撤回と「集団自決」に関する記述の回復を拒否し続けている。
 また、今回の教科書検定に際して、文部科学省はあらかじめ合否の方針や検定意見の内容を取りまとめた上で同審議会に諮問していること、諮問案の取りまとめに当たっては係争中の裁判を理由にし、かつ、一方の当事者の主張のみを取り上げていること、同審議会では「集団自決」の議論が全くなされていなかったことなど、新たな事実か相次いで判明したのにもかかわらず、依然として対応を改めようとしていない。
 教科書は未来を担う子供たちに真実を伝える重要な役割を担っている。だからこそ、子供たちに、沖縄戦における「集団自決」が日本軍による関与なしに起こり得なかったことが紛れもない事実であったことを正しく伝え、沖縄戦の実相を教訓とすることの重要性や、平和を希求することの必要性、悲惨な戦争を再び起こさないようにするためにはどうすればよいのかなどを教えていくことは、我々に課せられた重大な責務である。
 よって、沖縄県民は、本日の県民大会において、県民の総音として国に対し今回の教科書検定意見が撤回され、「集団自決」記述の回復が直ちに行われるよう決議する。

平成十九年九月二十九日    九・二九教科書検定意見撤回を求める県民大会実行委員会


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