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中教審答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」に対する書記長談話
日本教職員組合
書記長 中村 譲

 7月11日、中央教育審議会は第55回総会を開き、「今後の教員養成・免許制度の在り方」について小坂文科大臣に答申した。教職課程の質的水準の向上、教職大学院制度の創設、教員免許更新制の導入を柱に、教員養成や教員の資質能力の向上の見直しが提言された。とりわけ、教員免許更新制については「その時々で求められる教員として必要な資質能力が保持されるよう、必要な刷新を図るための制度」として導入し、現職教員についても、一定期間(10年間)ごとの定期講習を受講・修了することが必要としている。

 今回の更新は、「いわゆる不適格教員の排除を目的とするものではない」としつつも、「講習の受講・修了ができない場合は、免許状が失効し失職となることから、問題のある者は教壇に立つことがないようにする」としている。また、ペーパーティーチャーは10年間にこだわらず再取得が必要になった時点で回復講習を受講・修了すれば更新されることからも現職教員に特化した制度であることは明らかである。
適格性を確保するための制度は、条件付採用制度、分限制度、指導力不足教員制度など、すでに整備されており、新たに教員免許更新制を導入する理由とはならない。

 また、「授与された教員免許状が終身有効であることは、一つの既得権益でもあるが、公共の要請により新たに制約を課すことは許容し得る」「免許状が失効すれば地方公務員法上失職に該当し、法律上何らかの行政行為が必要になるものではない」としている。しかし、実質的には任期制となり、現在の教員免許法や公務員制度との整合性、他の職業資格との関係からも十分説明されていないなど、法的な面においても多くの問題を含んでいる。

 教職員の資質向上については、学校現場における教職員同士の学び合いなどの同僚性、自主的な研修・研究、子どもたちとの教育活動や地域・保護者とのつながりなど、日々の教育活動の中で力量を高めている。更新制は、こうした学校現場での資質向上の視点を否定するものである。「教職員は職場(学校)で育つ」ことを再度指摘しておきたい。

 わたしたちは、多様な資質・能力を持つ個性ゆたかな教職員の協力・協働により充実した教育活動が展開できると考える。更新制の導入は、画一的な資質・能力を求めることになり、教職員の学ぶ意欲や研修・研究に対する自主性、自律性が失われることにつながる。教職員の資質向上のためには、得意分野づくりや個性の伸長を喚起する環境作りや教育条件整備が必要である。

 学校現場に対しては、「対象教員にいたずらに負担を課さないよう校務を軽減するなどできる限りの配慮が必要である」としている。しかし、多忙な学校現場や教職員のストレスに配慮するのであれば、学校現場に混乱をもたらす教員免許更新制の導入自体を再検討すべきである。


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