わたしたちは、教育基本法改悪反対のキャラバン行動を全国各地で展開してきた。多くの保護者、市民、なかまとつながった。「慎重審議」を求める地域の人々からの声も高まり、寄せられた署名は、180万筆を超えた。
二度と戦争はしないと誓った日本国憲法の下、「この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである」として制定された教育基本法を改悪させてはならない。
今国会では、「政府法案」にいたる与党内の審議経過は一切明らかにされず、「なぜ、教育基本法の改正が必要なのか」「改正によって何がどう変わるのか」などについて明確な説明もなかった。教育基本法の理念にそった教育や教育行政が行われてきたかも、検証されないままである。
「愛国心」など内心にかかわることを法律に規定することは、断じて容認できない。かつて国家が「愛国心」の名のもとに侵略戦争をはじめ、人々を戦禍にまきこんだ歴史、教え子を戦場に送った私たちの先輩の慙愧の念、子どもたちの苦悩と痛み、残された者の悲しみを私たちは忘れない。二度と繰り返してはならない。
教育基本法を読み生かす運動をすすめ、改悪反対の声をさらに大きなものとする決意を改めて固める。
小泉構造改革は、規制緩和、競争主義、市場原理を強めた。その結果、年間3万人を超える命、若者から仕事、高齢者から安心を奪い、地域間、個人間の経済的格差を拡大させた。「改革」に起因する社会の荒廃が、子どもの「教育への権利(子どもの権利条約)」、「機会均等」を奪いはじめている。若者は将来に夢が持てなくなっている。
教育の機会均等や全国水準の維持には、国と地方による財源保障が不可欠である。政府は「骨太方針2006」の中で、賃金・定数・教育条件のより一層の切り下げを断行しようとしている。
「子どもの最善の利益(子どもの権利条約)」を求め、現行教育基本法を読み生かし、ゆたかな公教育の実現をめざすとともに、わたしたち日教組は、改悪反対のとりくみに組織の総力を結集する。
以上、決議する。
2006年6月22日
日本教職員組合第146回中央委員会
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