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教育基本法前文
われわれは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。
 戦前の日本の教育は、民主主義が否定され、お国のために戦えと教えられた青年を戦場へ送ってきた。

だから、基本法が生まれた。
教育基本法第1条 (教育の目的)
教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない。
戦前は、国家に役立つ人づくりのための教育が一方的・画一的に行われた。

だから、基本法が生まれた。
教育基本法第2条 (教育の目標)
教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において実現されなければならない。この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によって、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。
戦前、教員は教育勅語と国定教科書によって教育の自由もなく教える内容から教え方まで細かく規定されていた。

だから、基本法が生まれた。
教育基本法第10条 
(教育行政の責務)
教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負って行われるべきものである。
2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行する必要な諸条件の整備を目標として行わなければならない。
前文
 われわれ日本国民は、たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家をさらに発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願うこと。 
この理想を実現するため、個人の尊厳を重んじ、真理と正義を希求し、公共の精神を尊び、豊かな人間性と創造性を備えた人間の育成を期するとともに、伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進すること。 
 日本国憲法の精神にのっとり、我が国の未来を切り開く教育の基本を確立し、その振興を図るため、この法律を制定すること。 
 「日本国憲法の精神に則り」の部分の削除を求める意見もありましたが、表現は残りました。新たに「公共の精神を尊び」「伝統を継承」「新しい文化の創造を目指す教育」が明記されました。現行の「個性豊かな文化の創造を目指す教育」は消えました。
 「公共の精神を尊ぶ」ことの本質は、これまでの議論から考えると「公共」=「国家的な公共」であり、「公共の精神」とは、まさに「戦前の滅私奉公」であり「教育が国家の道具になってしまう危険性」が指摘できます。「伝統の継承」という文言がなぜ入ったかは、これまでの議論から、教育を日本的な伝統・文化と強引に結び付けようとしていることの表れで、国家主義思想を持ち込むものです。「伝統の継承」の意味するものは、あらゆる教育の場を通じて国などへの精神的帰属性を強めようとしているもので、法律で規定するものではありません。憲法で定める思想・良心の自由を保障すべきなのです。
1 教育の目的
 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家および社会の形成者として必要な資質を備えた、心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならないこと。
 現行の「国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、自主的精神にみちた」が削除され、新たに「社会の形成者として必要な資質を備えた、心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」としました。つまり「国家に役立つ個人の育成」が教育の目的として入れられたことになります。「社会の形成者として必要な資質」をどのように規定するか、つまり、正しい国家意識の涵養とか社会的責任の自覚、日本の歴史・伝統の尊重、国民としての義務、道徳などというものが規定された場合は、戦前へ逆戻りです。
2 教育の目標
 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲ける目標を達成するよう行われるものとすること。
  1. 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体をはぐくむこと。
  2. 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性をはぐくみ、自主および自律の精神を養うとともに、職業および生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。 
  3. 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
  4. 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
  5. 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
 現行の第2条「教育の方針」は削除されました。また、現行の「この目的を達成するためには 〜 努めなければならない」を削除し、「道徳心」「自他の敬愛と協力」「伝統文化を尊重」「我が国と郷土を愛し」「国際社会の平和と発展に寄与」の「目標」や「徳目」が盛り込まれています。法律で徳目を定め個人の内面(心)を法律で縛ることは、憲法の規定する思想信条の自由の侵害です。「心の管理教育」があからさまに進行することにつながります。教育ではなく、『教化』であり、教育基本法が「教育勅語」に類似あるいは、復活を目指した法律へ転換する姿を示しているといえます。
 「伝統と文化を尊重する」「わが国と郷土を愛する」ということは、「愛国心」の文言は使われなかったものの、議論の過程から「愛国心」を主張する意図が盛り込まれているといえます。「わが国と郷土を愛する」という個人の心・内面の有り様を、けっして、国家や国家が支配する公教育によって強制されるべきものではありません。憲法の保障する思想・良心の自由に触れる危険性があります。「公共の精神」についても、それが意味しているのは、国家への奉仕であって、民主的精神を意味しているのではありません。
 この条文に、多くの時間が費やされてきたことの意味をしっかりと認識する必要があります。なぜ、ここにこだわってきたかを!
 たったこれだけ読んでも、崇高な理念を掲げる今の教育基本法が、どのような方向で変えられようとしているのか分かると思います。
 憲法の理念を実現するための法律、準憲法的な性格の教育基本法を改定する必要があるのならば、子ども・保護者・教職員をはじめとする多くの国民の意見がそこに反映されなければなりません。与党協議のみによる教育基本法「改正」案は、国民主権を侵害するものであり断じて認めるわけにはいきません。

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