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障害児教育部への扉
「第30回『障害』児教育研究集会」

 1月27日(土)互助組合会館において、第30回「障害」児教育研究集会が、開催されました。本年度の研究集会は、障害者や家族の日常生活に大きな「痛み」をもたらすことになっている障害者自立支援法(06年4月に施行)について、現状と問題点について理解を深めようという課題意識のもとに、全体会と実践交流会を開催しました。障害児学校を中心に
55名の参加がありました。
 全体会では、知的障害者福祉施設「吉田愛青園」園長の荒武純博さんに、「障害者自立支援法とその問題」と題して、講演をしていただきました。
 定員いっぱい受け入れている吉田愛青園の入所者の現状や職員の対応などについて、障害を持つ人の自立支援をサポートしている日常の様子を交えながら、スモールステップで自立支援をしていくことの大切さを指摘されました。また、就労を進めても、なかなか就労できない現状にも触れられました。自立支援法については、決してよい法律ではなく、応益(定率)負担の問題点、障害区分の程度により使えるサービスに差が出てきている問題、福祉サービスを受けたいが、お金(自己負担)がかかりそうで、申し込みできない家族がいる等の現状を指摘されました。さらに、障害区分認定の判定を行う市町村に専門的調査員がいないところも多く、判定に差が出ている実態もあることも指摘されました。 
現在、法施行から1年にも満たない現段階で、全国の障害を持つ人や家族から法案の見直しの大きな声が上がり、国会への陳情行動や全国規模の集会、署名運動など行われていますが、荒武さんはこの法律の見直しを求めて運動を進めていく必要性を訴えられました。
午後からは、障害を持つ当事者の立場から「CILかごしま」の吐合美由紀さん、施設・事業所の立場から、姶良町にある就労継続支援B型サポートハウス颯(そう)の原田美保さん、学校現場からは、牧之原養護学校の中野郁雄さん(障害児教育部部長)から、「障害者自立支援法施行と現場の状況を語る」というテーマで、各現場では具体的にどんな課題が出てきているのかについて、3名に実践報告をしてもらいました。
 「CILかごしま」の吐合美由紀さんは、小さい頃から病院で生活する中で、自分を支えてくれた教師がいたことや地域の中で生活したいという思いを持ち続け、現在、日常生活に介助が必要ではあるが、地域の中で生活していることなど語られました。障害者自立支援法に関しては、「当事者抜きにこのような法律を決めないでほしい」、「応益負担は、障害者にとって命と直結する問題であること」、「生きるための最低限のことができないと健常者と共に生きられないので、人の手がどうしても必要であること」、「人間として当たり前のことを行うのにお金がいる。年金も所得とみなされること」など、当事者の立場から切実な問題として訴えられました。
 最後に参加者に対し、「ありのままのあなたでいいという考えのもと、先生方には、障害児をたくましく育ててほしい。自分らしい力を発揮できるようにサポートしてほしい」と訴えられました。そして、障害者自立支援法の実態や現状を理解してもらうには時間がかかるが言い続けていくしかないと結ばれました。紙面の都合で、お二人の発表については割愛しますが、研究集会に参加した皆さんは、共に生きる社会実現のために国民全体の課題として受け止め、情報の共有や連帯のネットワーク、法案見直しの運動への積極的な参加ということについて確認できた集会になったと思います。保護者への参加呼びかけの手立てが足りなかったことについては、今後の課題として残りました。
                                    (文化部 柚木園 寿)





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