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女性部への扉
日教組九州地区「母と女性教職員の会」に参加して

柊原小分会 谷口真由美

 「子どもたちに平和な未来を」〜めざそう つくろう 安心・安全な社会を〜をテーマに、第55回日教組九州地区「母と女性教職員の会」が10月18日〜19日、福岡県原鶴温泉で開催されました。
 1954年静岡県で開催された日教組第3回全国婦人教員研究協議会で「日本のお母さんに訴える」のアピールを採択したことを原点として始まった「母と女性教職員の会」は、今日まで55年間、民主的な教育の実現と平和憲法を守るために、お母さんとともに手をつなぐ運動を全国で続けています。
 当日は、九州各県から女性教職員や母親が福岡の地に集い、2日間活動の交流をしました。
 開会行事の子どもからのメッセージは「筑紫こども会議」の平和学習や平和劇のとりくみ報告でした。子どもたちが、自分の言葉で平和への思いをわたしたちに伝える姿に、母女の柱でもある「憲法を守る」「子どもの人権を守る」ことをこの母女から広げていかなければという思いを強くしました。
 基調講演は、「教育・子育ての困難と希望としての子ども」と題して埼玉大学名誉教授の暉峻淑子さんが講演されました。個人の精神より国が優先された戦時中、疑問を持たせない教育がなされる中、暉峻さんは自分で考えることの大切さ・あきらめない精神を親から学んだことから始まり、子どもは主人公でいられる遊びの中で自立を学ぶことや、自己決定の経験の必要性、子ども時代にだめだという劣等感ではなく認められることの大切さなど、子どもたちと向き合うわたしたちにたくさんのヒントを与えてくださいました。「教育は一人ひとりの人生を花咲かせるためにある」「わたしたちは微力ではあるが無力ではない」という言葉に、わたしたちは、立て続けに立ちはだかる困難に、あきらめることなく自分の人生の主人公になって、これからも活動をしていきたいと思いました。
 その後から2日目にかけて4つの分散会に別れて母女運動をどう広げていくか、各県のとりくみや課題をもとに活動交流がありました。PTA役員の中に母女担当のいる福岡・大分などでは、母親たちが主体的に母女運動を進めており、母女活動を通して市教委に要請書を出したり、平和学習に使える絵本を作ったりなどの報告がありました。一方で、学校内で母女運動を制限される動きもあったり、なかなか母親を誘えきれない現状は、どの県も同じ悩みでした。教職員が学校現場の多忙の様子や悩みを出し元気がないところへ、分散会に参加した母親が「最近の中山発言ような日教組批判に負けることはない。子どもたちのことを考えた実践をしていることを分かる人は分かっています。全部が敵なわけではありません。だから、もっと元気をだして自信を持って活動してください。応援してます!!」と発言してくださり、勇気がわいてきました。
 「母女のことを初めて知った」というお母さんと一緒の参加。他支部から同級生が母親として参加していた驚きの再会。行くときには他県の参加者は知らなかったのに、帰りの新幹線では同じ会に参加した仲間としての会話など、また一つ「つながり」ができました。
 この会でいただいたパワーを、身近なところから広げるとりくみにつなげていきたいと思います。

親と教師という線の引き方をもう少し近くしてみようという気になりました

鹿児島から参加のお母さん・鳥越恵利子さん

 10月18日から19日までの2日間、福岡の朝倉市で開催された「第55回母と女性教職員の会」に参加させていただきました。
 暉峻淑子先生の基調講演は、今の日本を取巻く教育や子育てが画一的で、人を育てる教育が困難な時代になっていること。個性を重んじる子育てができなくなっていることを訴えていたのではないかと思います。お話しのなかで、「自分が人生の主人公になっているか?」との問いかけに、自分のこどもたちが果たして主人公になりえているのかと自分の子育てを振り返ることでした。テストの点数がすべてではない。当然です。しかしながら、テストの点数や、日々の課題の提出状況、授業態度、果ては生活態度までもが評価の対象になる現実は変わりません。
 一定の基準がありその枠にはめて評価をしなくてはならない教職員。下された評価を見て一喜一憂する保護者、そして子ども。私が学生だった頃はバブルの絶頂期で、「3高」と言う言葉がはやり、それを手に入れることが幸せというような考えがまかり通った時代でした。聞いているうちに日本の教育のあり方ってまともなのかな?という不安に駆られ、自分は自分の考えを子どもたちに押し付けてはいないだろうかと振り返ることでした。親にとってわが子は、たとえ枠の中で評価された結果が悪かろうが、「わが子が一番!」です。苦手科目があろうがいいじゃないか。我が子の個性を尊重しようではないか?と思っても成績表を見ながら「こんなんじゃまともな大学行けないじゃない…」と悩む自分がいます。「まともな大学って何よ?」と葛藤する自分がいます。講演を聴き、まずは自分が変わることが大事。心から「みんな違って、みんないい」と思える自分にならなくてはと思っています。
 分散会では、「母女」の現状を知ることができました。PTAの“P”となって11年。私は「母女」の存在を全く知りませんでした。PTA活動にはそこそこ参加し、役員もそこそここなしてきました。しかし、教師と保護者という位置で線を引き、教師の本音を聞く機会なんてありませんでした。懇親会にも参加はしましたが、とりあえず表面的に話しをあわせておこう…とか。
分散会や交流会などで「休日もゆっくり休めない」、「やることが多くて子どもと向き合う時間がない」など現場の声や教師の本音を聞き、夏休みがあっていいなぁ…と漠然とうらやましがっていた自分を反省しました(笑)。母親は日々、子どもの習い事の送迎だったり、休日もスポーツ少年団の遠征に同行したりと休む時間がありません。少年団で親同士の関係がうまくいかなかったりすると、そのストレスたるやいかばかりかです。母も教職員も、精神的にも時間的にもゆとりがない。各県の先生方のほとんどが、「お母さん達は忙しくて大変だからどう誘ってよいかわからない」と言われるように教師は母の現状をよくご存知です。逆に母親は教職員の現状をあまり知らないのではないでしょうか?だからこそお互いに、本音や弱音を吐く場は必要なのではないでしょうか?現状を知ることで協力しなくては…と意識が変わると思います。初めは小さな力かもしれません。でも「先生も大変なんだよ」と伝えてくれる人を少しずつでも増やすことで、見る目が変わる事だってあると思います。
 今回、先生方の本音を聞くという貴重な体験をさせていただき、親と教師という線の引き方をもう少し近くしてみようという気になりました。
 日程が詰まっていてとてもめまぐるしい2日間でした。欲を言えば、忙しい時間の合間を縫って参加された先生方にもう少し時間のゆとりを与えて休ませてあげて欲しいと感じました。
 参加された先生方、楽しい時間をありがとうございました。




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